Agency for Cultural Affairs, Goverment of Japan

Haneda Airport

日本文化の魅力として、伝統文化と先端技術とを融合させてきたことが挙げられることがあります。今回私たちはメディア芸術というテクノロジーを用いたアートや、マンガ、アニメーション等のエンターテインメントを含む幅広い今日の芸術表現を日本の伝統的な芸術鑑賞体験と接続するインスタレーション作品を、Welcome Artとして空港に展示します。

「掛軸」は表装した書画を床の間や壁などにかけ、飾りまたは観賞用としたものです。私たちはこの伝統的なメディアにテクノロジーと現代的な解釈を加え、新たな装いを持たせました。通常は絵画や書が飾られる本紙と呼ばれる中央部にモニターを設置し、現代のメディア芸術領域で活動する5組の作家が制作した映像を映し出します。 掛軸に見立てたスクリーンの中で、アーティストやクリエイターが新たな視点や手法で日本文化の魅力を表現した映像が、空港を訪れたみなさんを出迎えます。

展示場所:2月5日 - 2月15日 羽田空港 第2ターミナル 2階出発エリア D保安検査場前
2月16日 - 3月21日 羽田空港 第2ターミナル2階 マーケットプレイス

Exhibition theme

“NEO-KAKEJIKU”

招き猫 AC部

桜に招き猫のイルカくん

Artist's Comment:
AC部の生み出した「イルカのイルカくん」は、癒しがテーマのキャラクターです。本作品では、イルカのイルカくんが、招き猫に扮して「日本にようこそいらっしゃい」と言わんばかりに手招いています。その姿を見た来訪者に、旅の疲れを少しでも癒していただければという思いで制作しました。招き猫は江戸時代に江戸の町人文化から誕生したと言われる日本独自の縁起物で、福を招き入れるマスコットとして日本中で親しまれています。

招き猫
Artist
  • AC部
    濃厚でハイテンションな表現と、暑苦しくリアルなイラストをベースに、TV、CM、MV等様々な媒体で話題性のある作品を生み出すクリエイティブチーム。高速紙芝居『安全運転のしおり』(2014年)が第18回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門審査委員会推薦作品に選出。『Powder/New Tribe』(2019年)がアヌシー国際アニメーション映画祭の受託部門にノミネート。2019年度より京都芸術大学客員教授。

水墨画 Creative Label nor

dyebirth_seeing as

Artist's Comment:
本作は「水墨画」のレトリックの1つである、見立てをテーマに制作しました。 dyebirthは、粘性樹状突起形成 (Viscous Fingering)と、マランゴニ効果(Marangoni Effect)と呼ばれる自然現象により模様を生み出します。それらの変化する模様を、木の枝や花、岩や雲、山の連なりなどに見立てることで、山川草木(さんせんそうもく)を有機的に描き出します。

※水墨画は墨色の濃淡によって描く絵の様式。日本には鎌倉時代に中国から伝わり、発展した。

水墨画
雪舟等楊筆「秋冬山水図冬景」(国宝、室町時代) / 東京国立博物館
Artist
  • Creative Label nor
    科学者、音楽家、建築家、プログラマー、エンジニア、デザイナーなど多様なバックグラウンドをもつメンバーによって2017年に発足したアートコレクティブ。テクノロジーを活用して、自然現象そのものを作品として表現することで「科学と芸術のアウフヘーベン」の体現を目指す。アルゴリズムに従ってインクを滴下する『dyebirth』(2017年)が、第22回文化庁メディア芸術祭 アート部門審査委員会推薦作品に選出。

竹取物語 宮崎 夏次系

イントゥ・ザ・竹

Artist's Comment:
"今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。"といえば子供の頃かきぞめの授業で繰り返し書いたなと、クリーム色の硬筆用紙を思い出します。半透明なあの用紙から、姫を包んでいる幾重ものシェルターとしての竹、竹林、障子、十二単衣とその下にこっそりとなにを着ているのかと空想しマスクの下に常にプライベートな部分が存在している今の日常を重ねています。

※竹取物語は、かぐや姫と呼ばれる姫にまつわる物語。日本最古の物語文学とも言われる。かぐや姫は竹の中で見つかり、翁のもとで成長した後、月へと昇っていく。

協力:ひつじ

竹取物語
(立教大学図書館所蔵)
Artist
  • 宮崎 夏次系
    1987年宮城県生まれ、マンガ家。2010年「月間モーニング・ツー」40号より初連載『夕方までに帰るよ(講談社)』をスタート。『変身のニュース(講談社)』(2013年)が第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員会推薦作品に選出。脱力した絵柄で日常におこる濃密な感情の渦を描く。 著書に『僕は問題ありません』(講談社)、『と、ある日のすごくふしぎ』(早川書房)、『あなたはブンちゃんの恋』(講談社)など。

和紙 ニャムヤム

テンガミ

Artist's Comment:
日本の伝統美である和紙を用いて、繊細で美しい古代日本神話の仕掛け絵本アドベンチャーゲームとして発表した作品の動画を、今回「掛け軸」という縦フレームというテーマを頂いて再編集しました。「もしTengamiを縦フレームで開発していたら・・・」 当時の開発を懐かしく振り返りつつ製作をしました。

※和紙は、日本古来の製法による手漉すきの紙。ミツマタ・コウゾ・ガンピなどの繊維を原料とする。

和紙
Artist
  • ニャムヤム
    日本の文化をこよなく愛する日英独のベテランゲームクリエイター3名による独立系開発スタジオ、ニャムヤム(Nyamyam, 英国)。日本の伝統美の一つである和紙の質感と、「しかけ絵本」の構造をビジュアルに取り込んだパズルアドベンチャーゲーム『Tengami』(2014年)で、SXSW2014, IndieCade, SOWN, Develop Showcase,Game Connection BIG Festivalでの受賞および第18回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門審査委員会推薦作品に選出。

解体新書 吉開 菜央

うみのなかにあるものは
わたしのなかにもあった

Artist's Comment:
私は夜の海に潜り、生と死が混在する海から「体の中にあるものは海の中にもある」と感じました。本作ではその感覚のもと、日本最初の西洋解剖学訳述書である「解体新書」をモチーフに映像をつくります。かつて、杉田玄白らが身体を解剖し臓器を写しとった行為は、生きている自分の身体の内側に触れるような感触だったのではないかと感じます。『解体新書」に敬意を持ちながら、いまだ解き明かせぬ身体の宇宙に触れたいと願っています。

※解体新書は江戸時代に著された、日本最初の西洋解剖学の本格的な翻訳書。

解体新書(1774年刊)
Artist
  • 吉開 菜央
    1987年山口県生まれ。映画作家・ダンサー・振付家。自らの身体感覚・情動に向き合いながら、映像・映画・CM・MVの監督や出演・振付を行う。『ほったまるびより』(2015年)が第19回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門新人賞を受賞。米津玄師MV『Lemon』(2018年)を出演・振付、映画『Grand Bouquet』(2019年)がカンヌ国際映画祭監督週間正式招待。

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