ー現地視察を通じて、印象に残ったことを教えてください。
ぼくは沖縄出身ですが、高校卒業後すぐに上京したので、じつは沖縄についてあまり知らなかったのだと今回の視察で痛感しました。特に琉球王国の歴史は初めて知ることばかり。そのなかで、沖縄・琉球の思想の中心に、「流れに任せる、流れを上手く使う」といった、小さな島特有のアイデンティティを感じたので、作品のキーワードも「流れ」にする予定です。このアイデアは、首里城の視察で思いつきました。首里城は、風水的に大量の気が集まる龍脈と呼ばれる場所に位置しているそうです。こうした「流れを上手に使うこと」が、琉球の思想だと思います。


ー制作予定の作品について教えてください。
今回の作品では、複数の象徴的なシーンをシームレスにつなげ、ぼくが感じた琉球・沖縄の「流れ」を伝えたいです。また、会場は太陽光が差し込む開けた場所なので、複数の大型モニターの向こうにイメージの空間が広がり、モニターはイメージを切り取る窓として機能します。鑑賞者の頭部の位置をセンサーで検出し、モニターの背後に本当に空間が広がっているように感じさせる投影手法を用いたいと思っています。同時に、空や海との空間的なつながりを使って面白いことができないかも思案中です。