Agency for Cultural Affairs, Goverment of Japan
Haneda & Narita Airport Japanese Vision Travel

カルチャーとは、
過去から現在
そして未来へと通じる
ビジョンである

パオラ・アントネッリ

羽田・成田空港での展示のテーマは「VISION GATE」。世界中の人々が日本を訪れた際に驚きとともに見出す「日本文化の特殊性」、その過去から未来まで一見相反するものの裏にある共通性を「VISION」と名付け、新たなかたちで表現する展示です。興味をもった方はぜひ日本を訪れ、さまざまなVISIONに触れてみてはいかがでしょうか。

“VISION”とは?

羽田・成田国際空港の展示キュレーターであるパオラ・アントネッリさんは日本文化の特徴を「VISION」という言葉で表現しました。「カルチャーとは、過去から現在そして未来へと通じるビジョンである」と。

外国の方が日本を訪れた際、一見対立しているように見える概念同士が、不思議な調和のもとに共存している様子に驚くことが多いといいます。そのコントラスト(対立))シンパシー(共鳴)が日本に異国としての魅力を感じる大きな理由のひとつだとパオラ・アントネッリさんは言います。

日本は独自のクリエイティビティーで世界に知られ、最先端のテクノロジーと豊かな伝統を併せ持っています。その背景には過去と未来、古きものと新しきものを結びつけ、共存を後押しする力があるとパオラ・アントネッリさんは言います。想像力と過去の叡智を掛け合わせることで、未来へのイノベーションをつくり出す力。このVISIONこそが、日本文化が強みとする「伝統と革新」の原動力になっているのです。

日本を旅するなかでそのようなVISIONはいたるところで感じることができます。なかでも、新旧の建造物において古きものと新しきものを貫く思想が感じられる例を、自然、禅、技術という3つの観点からご紹介します。

LOCATION

三佛寺奥院投入堂
国立競技場
Copyright:JAPAN SPORT COUNCIL

断崖絶壁のくぼみに建造された木造建築物、国宝・三佛寺奥院投入堂。「役行者が法力により御堂を投入れた」との言い伝えから、8世紀前半に創建されたと伝えられますが、詳細はいまだに謎のまま。西洋では山は悪魔の住む場所であると言い伝えられることが多くありますが、日本ではそこに神仏を見出し、山岳信仰を生みました。三佛寺奥院投入堂も山の絶壁に神仏を見出し、自然に調和をする建築をつくったのです。

ひるがえって現代。世界的に活躍する建築家・隈研吾らが手がけた『東京オリンピック』のメイン会場である国立競技場も、自然に寄り添い、調和する建築としてつくられています。

隈研吾氏が提唱する「負ける建築」は、その土地や敷地の環境を生かし、主役にならないように心がけた建築のこと。国立競技場の近隣には、明治神宮があり、その聖域の端に位置することから、隈研吾氏は明治神宮に敬意を表し低層建築の競技場にしたそうです。

競技場の軒庇には47都道府県のスギ(沖縄はリュウキュウマツ)を使用。日本全国の心をひとつにしたいという気持ちを込めています。

龍安寺石庭
2012年8月撮影
神勝寺 禅と庭のミュージアム《洸庭》

枯山水とは、水を用いずに石や砂などによって山水の風景を表現する日本庭園の様式のこと。14世紀頃、日本の禅寺を中心に生まれたといわれています。

とくに有名な枯山水庭園といえば京都・龍安寺の石庭。1975年にエリザベス女王が見学、絶賛したことから世界的にも知られるようになりました。庭には15の石が配置され、すべての石を一望することはどの場所からもできないようになっています。日本では古くから、15という数字には「完全」という意味があり、「15の石が一望できない=不完全」であることが重要という禅的思想が石庭には体現されているのかもしれません。

いっぽうで、現代の禅を表現する庭は、2019年の『ニューヨークタイムズ』の「世界で行くべきディスティネーション」7位に選ばれた「瀬戸内の島々」を眼前に位置する、広島県福山市にある神勝寺 禅と庭のミュージアムにオープンした《洸庭》。建物の外観に伝統的な「こけら葺き」を応用し、全体を木材で柔らかく包んだ舟型の建物が、石のランドスケープ上に浮かぶアートパビリオンです。

石の海を通り抜け、ゆるやかなスロープを上がり、小さな入口から舟の中へ入ると、暗がりの奥には海原が広がり、波間にはかすかな光が反射しています。建物の設計を手がけたのは、日本を代表する彫刻家・名和晃平が率いる京都のスタジオ「Sandwich」。このアートパビリオンの内部のインスタレーションは名和と、同じく世界でも注目されるヴィジュアルデザインスタジオ「WOW」と音楽家・原摩利彦のコラボレーションによるものです。暗闇のなかの光。不完全かつ抽象的。現代アートとテクノロジーを駆使した体験は、現在において最先端の禅を作品として表現したといえるでしょう。

法隆寺五重塔
東京スカイツリー
©TOKYO-SKYTREE

日本の古都・奈良にある法隆寺の五重塔は7世紀初頭につくられ、現存する世界最古の木造建築としてユネスコの世界文化遺産に登録されています。

日本各地の寺院にも同様の木造建築様式による五重塔や三重塔がありますが、地震による倒壊例はほとんど聞かれません。まだその秘密は解き明かされていないものの、中心にある心柱と塔は別の造りになっていて、お互いが競り合うことで揺れに強い構造になっていると考えられています。1,300年以上前の大工たちによる創意工夫と高度な技術が、この木造による高層建築を可能にし、現在まで受け継がれる理由となったといわれています。

そして、五重塔の建築とよく似た仕組みを持つのが、2012年に開業した、自立式の電波塔では世界一の高さを誇る東京スカイツリーです。断面図を見ると、東京スカイツリーの構造は五重塔の心柱構造とよく似ています。東京スカイツリーの制振構造は、五重塔になぞらえて「心柱制振」と名付けられています。まさに日本がいかに歴史的な知恵にあふれた国であるか、さらにサスティナブルな国であるかを体感できるかもしれない一例です。

このほかにも、日本への旅はさまざまなところでVISIONを感じることができます。あなたもぜひVISIONに触れに、日本を訪れてみてはいかがでしょう

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